報告書
『カーボンニュートラル実現に向けた「覚悟」を問う ~トランジションとグレートリセットによるビジネスチャンスの創出~』
審議経過
回数・開催日
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内容
※講師所属・役職は講演当時
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第15回
2022年9月6日
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報告書案についての議論
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第14回
2022年4月28日
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報告書案骨子についての議論
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第13回
2022年4月13日
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プレゼンテーション
経済産業省 資源エネルギー庁 国際課海外エネルギーインフラ室長
兼 省エネルギー・新エネルギー部 国際室長
星野 昌志 氏
概要
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カーボンニュートラル実現とエネルギー安全保障の確保の同時達成に向けた我が国の国際戦略について、その全体像を説明する。
また、各国との協力として、米国・欧州等との協力に加え、アジアの脱炭素化を加速化するための基本的な考え方、アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブを含む我が国の取組を紹介する。
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第12回
2022年3月9日
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プレゼンテーション
東京工業大学科学技術創成研究院
ゼロカーボンエネルギー研究所
特任教授 奈良林直 氏
概要
資料
講演録
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現在、国際的に再生可能エネルギー(再エネ)が礼賛され、世界中が再エネで電力の全てをまかなえるかのような錯覚に陥っている。メルケル前首相は、脱原発政策と太陽光や風力発電による再エネ優先政策を強力に推進した。ところが、太陽光や風力発電は、気象や地球の自転の影響を大きく受けるため、変動再エネ(VRE)と呼ばれ、発電出力が低下した際にその谷を埋めるための火力発電所が必要である。ドイツは水力発電を含む再生可能エネルギーの比率を40%超えるまで増やしたが、1kWh(1キロワット時)の電気を得るのに必要な火力発電所からのCO2(二酸化炭素)の排出は約472gで、日本の534gと大差がない。CO2の排出が減らないので、ドイツは、石炭火力をロシアから供給される天然ガスを燃料とする火力発電に挿げ替えることで、CO2の排出を減らそうとした。従って、メルケル前首相が行った脱炭素政策は、ロシア産天然ガスに強く依存する状況を欧州に作り出しただけであった。
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第11回
2022年2月16日
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プレゼンテーション
株式会社 日立製作所
代表執行役 執行役副社長 アリステア・ドーマー 氏
概要
資料
講演録
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130カ国以上の首脳を含む、197カ国・地域の約10万人が参加した第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)に後押しされ、主要国は2030年の温室効果ガス排出量削減目標を大幅に引き上げ、また脱炭素化を促進する技術導入へのインセンティブや投資を強化している。
日立は気候変動領域のイノベーターとして、これらの世界的なイニシアティブに我々の情報技術、運用ノウハウ、物理的な製品を組み合わせることで、バリューチェーンを通して貢献することを目標としている。
本講演では、COP26のプリンシプルパートナーとして、COPでの各国のコミットメント、それによる世界・特に欧州の動向、また今後想定される日本への影響について、グラスゴーでの2週間のCOP参加経験からご共有申し上げると共に、それらの変化に対して日立がどのように貢献していくかの戦略について、特にエネルギー・モビリティ・インダストリーにデジタル領域の実例を交えながらご紹介申し上げる。
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第10回
2022年2月8日
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プレゼンテーション
一般財団法人電力中央研究所
特任役員 企画グループ 長野浩司 委員
概要
資料
講演録
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地球温暖化対策推進法(2021年5月改正)では、「2050年までの脱炭素社会(人の活動に伴って発生する温室効果ガスの排出量と吸収作用の保全及び強化により吸収される温室効果ガスの吸収量との間の均衡が保たれた社会をいう。)の実現」がうたわれている。
炭素排出と吸収の均衡状態、すなわちカーボンニュートラル(CN)は、需要の電化と電源構成の低炭素化により達成される。その一方で、残余の排出は同量の「負の排出」で相殺されねばならない。とくにコロナ時代を経て、需要側の対策の重要性が高まる。
日本政府は2050年CN実現に向けた公式見解や計画を提示しているが、その達成に伴う不確実性は大きい。とくに、電源構成の脱炭素化の鍵を握る再生可能エネルギー、原子力については、特段の努力を要する。
電力中央研究所は、エネルギー・電力に特化した研究開発機関として、「脱炭素化と需給の最適化の両立」を目指した研究開発を推進していく。
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第9回
2022年1月25日
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プレゼンテーション
多摩大学
ルール形成戦略研究所 客員教授 市川芳明 委員
概要
資料
講演録
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世界の地球環境に関するルール作りは2000年代に入り変化してきた。以前は環境科学の専門家が中心となって議論をしてきたが、会計学の専門家が入るようになり、環境と経済が結びつくようになった。きっかけは1990年代後半に登場した国際組織「GHGプロトコル」だった。企業の温暖化ガス排出量を測定して報告する国際基準や、自社の事業活動に関連する間接的な排出量を測定する「スコープ3」など次々と規格を打ち出した。世界の環境に関するルールは米国と欧州のしのぎ合いで作られてきた。どちらかが作ろうとすれば、主導権をとられまいと塗り替えようとする。
日本はこうした社会問題に取り組むための規格作りや、戦略的なルールの使い方が下手だ。国はルール作りに熱心ではないうえ、国際標準作りは民主導でなければならないと考えている。一方で、企業は業界横断的な規格はお上が決めるべきだと思っており、日本発のルール作りが進まない。ただ、日本にも勝機はある。例えばアジアの新興国の低炭素化だ。火力発電が多くCO2を大量に排出しているが、日本が主導しCO2の排出減につながる火力発電の運用方法の国際規格を作った。新市場となる可能性があり、日本の政府開発援助(ODA)のターゲットにしてもいい。こうした脱炭素に向かう途中段階の取り組みに投融資する「トランジション・ファイナンス(移行金融)」の考え方は日本のアイデアで、国際的に取り入れられるよう日本が頑張っている。
日本が世界で存在感を発揮するためにも、英国などのように国際標準の人材育成が急務だ。経験を積まなければ人材は育たない。経験は企業で積むのが最適だが、企業だけでは限界がある。半官半民の組織が必要だ。
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第8回
2021年12月23日
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プレゼンテーション
パナソニック株式会社
ビジネスソリューション本部 CRE事業推進部部長 山本賢一郎 氏
概要
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パナソニックでの「サスティナブル・スマートタウン」の街づくりの取組み概要や特色について、企業の遊休資産を活用した「街づくり」による新たな事業貢献や地域貢献に向けた取り組みを紹介する。
パナソニックは家電メーカーDNAを持つ会社であり、人々の生活起点で「暮らし発想」でそこに暮らす皆さんのスマートライフをどのように実現するかという発想から、街づくりを進めている。お住まいの皆様の参加、様々なパートナー企業、自治体、大学にわたる異業種横断的な「共創」によって、Security、Mobility、Energy、Community、Wellnessの5つの分野横断型サービスを展開し、進化し続けるような街づくりを進めていく。モノづくりから街づくりへ、そしてそのなかで、製品やサービスの新たな事業イノベーション創造や社会課題解決を目指していく。2014年には藤沢市にFujisawa SST、2018年には横浜市にTsunashima SST、2022年春には吹田市にSuita SSTを予定。
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第7回
2021年12月9日
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プレゼンテーション
株式会社ユーグレナ
代表取締役社長 出雲充 氏
概要
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微細藻類ミドリムシ(学名:ユーグレナ)はワカメやコンブと同じ藻の一種で、栄養価が高くCO2を吸収することから、食料問題、エネルギー問題、地球温暖化の解決など様々な観点から注目を集めています。
株式会社ユーグレナは、絶対に不可能と言われてきたミドリムシの食用屋外大量培養に2005年に世界で初めて成功し、ミドリムシの産業利用を進めています。またミドリムシが含有する油脂がバイオ燃料に適していることから、バイオジェット燃料の研究開発も行っております。
株式会社ユーグレナは20014年12月3日、東京大学発ベンチャー企業として日本で初めて東証一部に上場しました。講演では企業を思い立ってから、上場までの軌跡、今後の未来像についてお話し致します。
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第6回
2021年11月22日
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プレゼンテーション
川崎重工株式会社
水素戦略本部 副本部長 執行役員 西村元彦 氏
概要
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川崎重工は水素の「つくる」「はこぶ・ためる」「つかう」をコンセプトに、2010年、豪州ビクトリア州ラトロブバレーの未利用資源、褐炭ガス化により水素を製造し、精製・液化した水素を専用運搬船で日本まで海上輸送する国際水素サプライチェーン構想を発表した。
2015年度からは本構想の実現に向け、 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による助成の下、液化水素運搬船の輸送容量が商用の1/100程度のスケールの設備にて、将来の国際水素サプライチェーン構築のため、パイロット実証事業に着手している。
本事業では特に技術開発要素が高い褐炭のガス化、液化水素の長距離大量海上輸送、および船舶のカーゴタンクと陸上タンクとの間の液化水素の荷役(積荷/揚荷)に関する技術の構築と実証を目指している。
これらの最新状況などを紹介するとともに、神戸ポートアイランドで市街地において水素燃焼で課題となるNOx生成を抑制し、世界で初めて実証に成功した水素ガスタービンコージェネレーションの事例を紹介する。
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第5回
2021年10月25日
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プレゼンテーション
ヒューリック株式会社
代表取締役会長 西浦三郎 委員
概要
資料
講演録
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ヒューリック株式会社は、2007年の商号変更以来、「安心と信頼に満ちた社会」の実現への貢献をパーパス(存在意義)として、首都圏を中心に立地(駅近)、環境性、耐震性に優れた不動産を提供しています。環境性では、国内最速レベルの2030年に全保有物件*の再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)化に取り組んでいます。
*:除く、当社がエネルギー管理権限を有さない一棟貸・住宅系・非幹事共有物件ならびに販売用不動産
取り組みの概要:
固定価格買取制度を利用しない再エネ電気を新規開発・供給することで、2030年までに全保有建物の年間消費電力量約310GWhを再エネ化し、電気由来のCO2排出量のネットゼロ化を実現します。
取り組みの特徴:
①非FIT太陽光発電施設を新規開発することで、国内の再エネの総量を増加。
②当社100%子会社がPPS(小売電気事業者)として発電した電気を全量買取り、保有建物へ販売する「自社グループ完結型コーポレートPPA(電力購入契約)」により、競争力のある電気料金で再エネ電気の長期的・安定的確保・提供が可能に。
③当社保有建物に入居するテナントの事業活動におけるCO2排出量がゼロ化。中規模ビルに入居する企業の脱炭素への取り組み機会の提供と、脱炭素に向けた社会の実現に貢献。
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第4回
2021年10月7日
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プレゼンテーション
株式会社レノバ
代表取締役社長CEO 木南陽介 氏
概要
資料
講演録
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脱炭素社会の実現が世界の潮流となる中、日本政府が昨秋「2050年カーボンニュートラル」を宣言して以降、我が国でも「グリーン成長戦略」や各種政策が矢継ぎ早に打ち出され、自治体や日本企業の様々な取り組みが加速している。2000年の創業以来一貫してビジネスを通じた環境課題の解決に邁進してきた事業者として、この一年の国内外の動向は、非常に大きな変化であると受け止めている。
本日は、まずは容器包装リサイクル法の施行(2000年)、京都議定書の発効(2005年)、再エネ特措法の施行(2012年)、再エネ海域利用法の施行(2019年)など、環境を取り巻く法制度の整備とともに成長を重ねてきた当社の事業の変遷を概観する。続いて、当社が現在注力している国内洋上風力事業とアジアを中心とする海外再エネ事業における開発姿勢と戦略をご紹介したい。当社の事例が「2050年カーボンニュートラル」という大目標の実現に向けた貴会の皆さまの議論の一助となれば幸いである。
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第3回
2021年9月22日
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プレゼンテーション
丸紅株式会社
電力本部 副本部長 幾島渉 委員
『丸紅の再生可能エネルギーへの取り組みとその課題』
概要
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カーボンニュートラルを推進していく上で電力部門の脱炭素化が大前提として掲げられている。政府が公表した第6次エネルギー基本計画の素案によると、2030年の電源構成における再エネの割合は、2019年の18%程度から36~38%へと大幅に拡大している。一方で、再エネ導入に向けて課題は多い。太陽光に関しては、地域と共生しながら安価に事業を推進できる適地が不足していること、環境影響評価手続きの期間が長いことが挙げられる。水力については、自然破壊のイメージがあり地域合意が得にくいこと、巨額の費用・長期の回収期間により資金調達が困難な点などがある。風力やバイオマスについては、適地での系統キャパシティ不足、据付船の拠点港や燃料荷揚港の確保などがある。こうした課題に対して、政府主導の送電線増強や、許認可プロセスの短縮、政府主導の地元住民への協力要請、国民への啓蒙活動等が求められる。
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第2回
2021年7月29日
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プレゼンテーション
三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)
経営企画部 副部長 吉高まり 氏
『ESGの世界的潮流と日本の状況』
概要
資料
講演録
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昨年10月の菅首相の「カーボンニュートラル宣言」以降、政府省庁で様々な検討会が立ち上がり、日本の民間企業も次々とカーボンニュートラル目標・戦略を掲げ、官民で脱炭素社会へ向けた取り組みを推進している。また現在見直し作業中である地球温暖化対策計画やエネルギー基本計画はこれまで以上に人々の関心を集めており、2021年はまさにカーボンニュートラルイヤーと言える。欧米が推進するグリーンリカバリーの動きでも見られるように、コロナ禍でも世界は気候変動対応への取り組みを加速しており、各国の金融機関・当局もそれを支援する戦略・方針を打ち出している。これまで数多くの企業や機関投資家との対話や政府の審議会に参加してきた経験を踏まえて、またファイナンスの視点から、カーボンニュートラルをはじめとするESGの世界的潮流を概観し、日本企業への評価の現状と今後期待する役割を解説する。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)
国際アドバイザリー事業部 副部長 尾木蔵人 主査
『カーボンニュートラルを目指すドイツの再生可能エネルギー導入』
概要
資料
講演録
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カーボンニュートラルへの取組みで最も重要な課題の一つは、再生可能エネルギーの導入である。
これは、世界のカーボンニュートラルへの取組みをリードするEUの重要経済政策「欧州グリーンディール」の主要テーマでもある。
このEUの取り組みに大きな影響を与えているドイツをベンチマークすると、同国の電源構成に占める再生可能エネルギー比率は、46%に達している(2020年)。ドイツでは、2022年末の原子力発電所全廃が確定しており、更に2020年、ドイツ政府は石炭火力発電所を2038年までに全廃することを発表した。
現在、2045年までのカーボンニュートラル前倒し実現を検討中と報道されている。
本講演では、ドイツの企業・産業界や一般家庭も大きく関与している再生可能エネルギー導入を後押しする取組みを紹介する。具体的には、電力の需要部門である企業等が発電部門になる
プロシューマーの拡大、デジタル技術を活用した仮想発電所VPPの活用、電力市場の進化(2012年から開始されたFIT からFIPへのシフト)、需要サイドと供給サイドの直接取引PPA (電力購入契約)、再生可能エネルギー法による優先電源化ルール導入、太陽光・スマートメーター・蓄電池の積極活用等である。
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第1回
2021年6月30日
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プレゼンテーション
東芝デジタルソリューションズ株式会社
IoT技師長 中村公弘 氏
『カーボンニュートラル時代に向けた
世界の「新たな社会・産業基盤構築」の動きにどう向き合うか?』
概要
講演録
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新型コロナの影響で、企業・産業を取り巻く環境・従来の枠組みが根本から変わってしまい、
世界では、これまでとは地平が異なる「カーボンニュートラル時代の新たな社会構造・産業構造への転換」を目指した取り組みが始まっています。
本講では、欧米中がコロナ復興対策として空前の規模で戦略的に進める「新たな社会・産業基盤」構築の動向と、その先に描く将来像を俯瞰することで、
これからのカーボンニュートラルを目指す時代を理解するための共通の認識の土台をつくり、この動きにどう向き合うか?
皆様が新たな産業のあり方や企業戦略をお考えになる一助となれば幸いです。
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