2010年3月2日公表
水循環の新秩序を構築せよ
-「水」を活かした豊かな社会に向けて-
本日、当会調査専門委員会である「山本委員会」は、『水循環の新秩序を構築せよ-「水」を活かした豊かな社会に向けて-』と題する提言・報告書を発表した。
約1年半にわたる委員会活動の末に取り纏められた本報告書では、「水」の持つ多様な役割をもう一度見つめ直し、永続性のある豊かさを実現するために、何をなすべきかについて提言している。
〔山本委員会メンバー〕
委員長:山本 一元 旭化成相談役
主 査:山田 正 中央大学理工学部教授
副主査:長谷部俊治 法政大学社会学部教授
委 員:経済界、学界等の有識者12名にて構成
〔報告書目次〕
エグゼクティブ・サマリー
本 論
一 基本的課題は二つある -何が問題なのか-
(1)基本的課題
(2)新しい水循環秩序の構築へ -取り組みの方針-
二 新秩序の構築が必要である -五つの提言-
Ⅰ 流域を単位とした水循環秩序の構築
(1)流域水循環を尊重する基盤の確立
(2)流域圏単位で水循環影響を調整するしくみの創設
(3)水循環の視点の土地利用計画等への組込み
Ⅱ 経済的手法を活用した秩序形成
(1)水利権取引制度の創設
(2)受益者負担の徹底
(3)水資源開発施設の合理的な運用
Ⅲ 水環境機能の確保
(1)水環境機能の公共性の認知
(2)水環境の公共財化
(3)水環境を支えるインフラストラクチャーの整備
Ⅳ 水情報システムの構築・統合
(1)水情報システムの形成とその公共的な運用
(2)水管理の的確性の向上
Ⅴ 水に係る人的基盤の確保・養成
(1)水技術・水政策の統合に向けた能力の結集
(2)水ビジネスの振興
三 提言の実行へ -行動のとき-
<参考資料>
(参考1)水利権制度
(参考2)水循環とその秩序
(参考3)水質を保全するしくみ
(参考4)水環境の理解のために
(参考5)水利用の秩序に関する主要な法制度
(参考6)流域の捉え方
講師講演録(役職名は講演当時)
第1章 広重にみる21世紀の水循環文明
リバーフロント整備センター理事長 竹村公太郎氏
第2章 水資源政策の現状と課題
国土交通省土地・水資源局水資源部長 上総周平氏
第3章 戦後河川事業史と今後の展望
国際連合大学上席学術顧問 高橋 裕氏
第4章 水環境に関する現状と課題
環境省水環境担当審議官 白石順一氏
第5章 気候変動下における表流水と地下水の一体的利用と管理
九州大学大学院工学研究院教授 神野健二氏
第6章 農業用水利用からみた日本の水資源管理
筑波大学大学院生命環境科学研究科教授 佐藤政良氏
第7章 水をめぐる法的議論(行政法の観点から)
学習院大学法学部教授 櫻井敬子氏
第8章 水を活かした都市づくりへ向けて-その可能性と問題点-
法政大学デザイン工学部建築学科教授 陣内秀信氏
第9章 水道システムと水環境
東京都水道局技監 尾﨑勝氏
第10章 水利用の秩序
法政大学社会学部教授 長谷部俊治氏
第11章 今、なぜ世界が水ビジネスに着目するのか
グローバルウォータ・ジャパン代表 吉村和就氏
第12章 地球温暖化に起因する気候変動への適応策に関する研究内容について
国土交通省国土技術政策総合研究所河川研究部長 大平一典氏
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