2007年7月25日
ユビキタスネット社会への日本の課題
~ウェブ新時代を迎えて~
本日、当会調査専門委員会である「島田委員会」は、『ユビキタスネット社会への日本の課題~ウェブ新時代を迎えて~』と題する政策提言を発表、記者会見を行った。本委員会では、来るべきユビキタスネットワーク社会の本質について考察した。ユビキタスネットワーク化はIT革命によって社会全体が変容していくデジタル情報化の中心的プロセスであり、ユビキタスネットワーク社会では、利用者は現実空間で生活している日常感覚のまま、ほとんど意識することなく多様なITサービスを享受することが可能となる。そして少子高齢化が進み国力衰退さえささやかれる日本において、労働生産性の向上や地域の活性化などにも資するものである。このようにユビキタスネットワーク化を進めることの重要性を指摘し、推進するための長期的目標や短期的目標ならびに重要検討課題を提言している。
〔島田委員会メンバー〕
委員長:島田精一 住宅金融支援機構理事長
主 査:西垣 通 東京大学大学院情報学環教授
委 員:経済界、学界、マスコミなどの分野の有識者18名にて構成
〔報告書内容〕
エグゼクティブ・サマリー
本 論
1.ユビキタスネットワーク社会のビジョン
1.1 背景とねらい
(1) IT革命
(2) e-Japanからu-Japan へ
(3) 経済活性化との関連
(4) ふたたび焦点となるIT活用
1.2 ユビキタスネットワーク社会とは何か
(1) ユビキタス環境が実現される社会
(2) アプリケーションから見た具体的イメージ
(a) 「見える化/可視化(visualization)」による生産性向上と省力化
(b) 処理の遠隔化/分散化による地域活性化
(c) 情報のカスタマイズによる個別サービス向上
1.3 ユビキタスネットワーク社会への転換
(1) 花びら型産業
(2) 横断型行政
(3) オンライン・コミュニティ
2.現状と新たな動向
2.1 現状と問題点
(1) 先駆的アプリケーションの試み
(2) 問題点と課題:置き去りにされる一般利用者
2.2 Web2.0との関連
(1) Web2.0とは何か
(2) 自己責任主義と父権温情主義(パターナリズム)
3.今後の方針と戦略
3.1 とるべき戦略
(LⅠ) 利用者主体の創発的アプリケーションの開発:Web2.0の取り込み
(LⅡ) 国際的標準化の推進:脱ガラパゴス化
(SⅠ) 生産/流通/事務処理の効率化:現場の生産性向上
(SⅡ) 地域の安全化:通学児童の保護
(SⅢ) 医療の効率化:高齢者向け医療支援
3.2 重要検討課題
(JⅠ) 信頼性/安全性/保守性の向上:第三者機関と自己情報コントロール
(JⅡ) モラル/公共性の向上:個人情報保護問題とCSR
(JⅢ)環境負荷の削減:エネルギー消費問題
4.おもな参考文献
各 論
第1章 わが国におけるユビキタスネットワーク化への取り組みと国際展開
野村総合研究所理事長 村上輝康氏
第2章 ユビキタスネット社会の実現に向けて
総務省情報通信政策局総合政策課長 阪本泰男氏
第3章 創発を誘発するプラットフォーム
慶應義塾大学総合政策学部教授 國領二郎氏
第4章 ユビキタスネットと社会発展の方向
東京大学大学院情報学環教授 須藤 修氏
第5章 放送通信融合&ユビキタス時代に向けた研究開発
日立製作所中央研究所所長 福永 泰氏
第6章 ユビキタス社会に向けて~フィールド・イノベーションへのチャレンジ~
富士通経営執行役上席常務 平田宏通氏
第7章 ユビキタスネットワーク社会に向けた松下グルーブの取り組み
松下電器産業デジタルネットワーク・ソフトウェア技術担当役員 津賀一宏氏
第8章 医療分野におけるユビキタスネットワークの活用
マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院客員教授 秋山昌範氏
第9章 Web2.0時代のビジネス新潮流
日本経済新聞社論説委員兼編集委員 関口和一氏
第10章 我が国の情報セキュリティ政策の動向について
経済産業省商務情報政策局情報セキュリティ政策室室長 頓宮裕貴氏
第11章 ケータイの発展と社会的使命
KDDI技術統轄本部技術開発本部長 渡辺文夫氏
第12章 “過去の日本”から脱出するために= ITU-T局長選挙を通じて学んだこと=
日本電信電話取締役 井上友二氏
※ご役職名は講演当時
(参考)本報告書は「エグゼクティブ・サマリー、本論、各論」からなる。
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