2004年11月17日
雇用形態の多様化と労使関係
-雇用形態の多様化が人事管理や労働組合、労働政策に及ぼす影響-
本日、当会調査専門委員会である「茂木委員会」は、『雇用形態の多様化と労使関係-雇用形態の多様化が人事管理や労働組合、労働政策に及ぼす影響-』と題する政策提言を発表、記者会見を行った。
本報告書では、「すべての働く人がその雇用形態によらず能力を発揮し、公正な処遇を受ける社会の実現のために」として、政府・企業・労働組合の各セクターに対していくつかの提言を試みている。それぞれの主体が新たな雇用のあり方を考えて、活力と働き甲斐のある社会の実現に本報告書がいささかでも貢献できれば幸いである。
〔茂木委員会メンバー〕
委 員 長: 茂木友三郎 (社)日本経済調査協議会理事、キッコーマン㈱代表取締役会長兼CEO
主 査: 清家 篤 (社)日本経済調査協議会調査・総合委員、慶應義塾大学商学部教授
副 主 査: 蔡 イン錫 専修大学経営学部助教授
委 員: 労・使・学識経験者等の有識者21名にて構成*(詳細は後記)
〔報告書内容〕
< 提言編 >
すべての働く人々がその雇用形態によらず能力を発揮し公正な処遇を受ける社会の実現のために
< 総論・理論編 >
第1章 総論:(清家主査)
1.研究会の目的と基本的な視点
2.雇用多様化の捉え方
3.本報告書の要約
第2章 雇用の外部化と雇用形態の多様化:(蔡副主査)
1.雇用の外部化と雇用形態の多様化
2.雇用形態の多様化:新しい現象?
3.雇用形態の多様化:日本だけの現象?
4.雇用の外部化のメリット・デメリット
5.雇用形態の多様化の研究意義
< 実態編 >
第3章 雇用形態の多様化の背景:(蔡副主査)
1.雇用形態の背景:コストと柔軟性だけで説明は可能か?
2.雇用形態の多様化の背景:供給(労働者)側の要因
3.雇用形態の多様化の背景:需要サイド
4.需要側と供給側を結ぶ要因:中間組織(人材サービス業)の出現
5.結論
第4章 統計データ・ケースから見た非正規従業員に生じている変化(南雲専門委員)
1.非正規従業員の「量的」変化
2.非正規従業員を用いる産業の変化
3.非正規従業員の「二重構造」
4.請負労働者の増加
第5章 雇用形態の多様化に関する研究の現状と課題(蔡副主査)
1.経済的な格差に関する研究
2.非正規従業員が行っている仕事の性格規定に関する研究
3.ポートフォリオに関する議論
4.残された課題
第6章 非正規従業員の組織行動(蔡副主査)
1.非正規従業員に関する分析視点:対立している二つの観点
2.周辺・補助的な観点の誤解:過小評価されている非正規従業員
3.フリーエージェントの観点の誤解:過大評価されている非正規従業員
4.結論:事実にもとづいた非正規従業員像、健全な組織人としての非正規従業員
< 応用(インプリケーション)編 >
第7章 雇用形態多様化のなかでの雇用政策のあり方(清家主査)
1.市場の影響力増大
2.労働市場機能を強化する必要性
3.雇用の規制改革
4.社会保障政策、産業政策、教育政策などと連携した総合的雇用政策の必要性
第8章 雇用形態の多様化と企業の人材マネジメントのあり方(蔡副主査)
1.人材マネジメントにおけるパラダイムの転換:正規従業員だけに限定された
「組織コミットメント・モデル」から、働くすべての人々から信頼を形成・維持する「信頼モデル」へと
2.非正規従業員と信頼
3.信頼の形成・維持の方法
4.企業への提言
第9章 雇用構造の変化から生じる人材育成の諸問題(戎野専門委員)
1.はじめに
2.雇用構造の変化
3.人材育成の現状
4.雇用の性格変化
5.能力開発の環境
6.これからの人材育成
7.おわりに-人材育成と労使関係
第10章 労働組合が非正規従業員を組織化する意義と組織化の現状(南雲専門委員)
1.非正規従業員の増加・多様化と組織化戦略の転換
2.非正規従業員が増加・多様化した時代の労働組合の役割
3.請負労働者の増加と公正な契約
4.非正規従業員の組織化の現状
審議経過、委員名簿
*(委員会の構成は次のとおり)
(五十音順・敬称略)
委員長: 茂木友三郎 (社)日本経済調査協議会理事、キッコーマン㈱代表取締役会長兼CEO
主 査: 清家 篤 (社)日本経済調査協議会調査・総合委員、慶應義塾大学商学部教授
副主査: 蔡 イン錫 専修大学経営学部助教授
委 員: 秋元 勇巳 三菱マテリアル㈱名誉顧問
安西 邦夫 東京ガス㈱代表取締役会長
大久保幸夫 ㈱リクルート ワークス研究所所長
小粥 義朗 財形住宅金融㈱代表取締役会長
加賀見俊夫 ㈱オリエンタルランド代表取締役社長
兼子 勲 ㈱日本航空代表取締役グループCEO(兼)会長
桜田 高明 日本サービス・流通労働組合連合会長
佐藤 博樹 東京大学社会科学研究所日本社会研究情報センター教授
篠原 欣子 テンプスタッフ㈱代表取締役
鈴木 勝利 全日本金属産業労働組合協議会顧問
髙木 剛 UIゼンセン同盟会長
常盤 敏時 イオン㈱取締役会議長
浜田 広 (社)日本経済調査協議会理事、㈱リコー最高顧問
原 巖 ㈱日立製作所執行役常務人材部門長
宗国 旨英 本田技研工業㈱特別顧問
森 一夫 ㈱日本経済新聞社論説副主幹兼編集委員
諸井 虔 (社)日本経済調査協議会理事・総合委員長、太平洋セメント㈱相談役
矢野 弘典 (社)日本経済団体連合会専務理事
脇坂 明 学習院大学経済学部教授
専門委員:戎野 淑子 嘉悦大学経営経済学部助教授
南雲 智映 慶應義塾大産業研究所共同研究員、嘉悦大学経営経済学部講師
協 力 者: 青木 豊 厚生労働省労働基準局長
加栗 章男 イオン㈱マックスバリュ事業本部事業本部長
香田 史朗 テンプスタッフ㈱管理本部副本部長
遠山 忠信 日本サービス・流通労働組合連合中央執行委員、チェーンストア部会事務局長
花見 忠 松尾綜合法律事務所客員弁護士
福田 和男 三洋電機㈱コンシューマー企業グループAVソリューションズカンパニー経営企画ビジネスユニット担当部長
藤吉 大輔 ダイエーユニオン中央執行委員長
本報告書(冊子)【B5判 182頁】をご覧になりたい方は、下記連絡先までお問い合わせ下さい。
【連絡先】社団法人日本経済調査協議会
TEL:03-3442-9400 FAX:03-3442-9403
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