2004年7月29日
問われる日本の“図書館力”
-図書館は知性主導型社会のエディターたりうるか-
本報告書は、高等教育に関する調査専門委員会(2004年6月、報告書『これからの大学を考える~21世紀知識社会・グローバル化の中で~』発表)の一部として、図書館の社会的役割について調査したものである。図書館という知の装置の現状とその本質にせまるため、公共図書館、大学図書館、国会図書館、さらには専門図書館や歴史的文庫も含めヒアリングを重ね、21世紀の日本の図書館を、生涯学習やビジネス、社会の問題発見・問題解決などに資する、能動的な知的活動の拠点として活性化するべく、提言を行うものである。
〔粕谷研究会メンバー〕
主 査:粕谷一希 当会総合委員・調査委員、㈱ジャパンジャーナル社長、都市出版㈱相談役
委 員:図書館・出版の分野の有識者4名にて構成
〔報告書目次〕
はじめに
1 図書館の混乱
2 書物をめぐる文明史的状況
3 原点としての書物
4 書物の公共的利用とは
5 知性主導型社会の図書館像
第1章 公共図書館・専門図書館
Ⅰ 5つの積極的な図書館活動のケース・スタディ
1 浅草文庫
2 文京区立鴎外記念本郷図書館
3 浦安市立図書館
4 座間市立図書館
5 財団法人 味の素 食の文化センター
6 ケース・スタディの総括評価
Ⅰ 日本の専門図書館の現在
Ⅱ 公共図書館はどこへ向かうのか
1 公共図書館の問題状況
2 評価すべき地道な努力実績
3 公共図書館の問題解決機能強化への提案
第2章 特別コレクション
Ⅰ 特別コレクションの転換・変貌
1 時
2 場所
Ⅱ デジタル情報化の未来図
Ⅲ ねじれ・・図書館が文明の人間化の機関になるために
1 文化の動態・・ねじれ
2 重視されるべき図書館活動のいくつか
3 提案ひとつ
第3章 大学図書館
Ⅰ 事例にみる大学図書館
1 一橋大学附属図書館
2 早稲田大学図書館
Ⅱ これからの大学と図書館
1 学部課程における情報教育的機能
2 地域・一般市民へのサービス
3 研究活動の支援機能
4 生涯学習過程への寄与
第4章 国会図書館
1 その設立の経緯とねらい
2 国会は国会図書館を活用してきたか
3 政策秘書という滑稽劇
4 図書館側に問題はないか
おわりに
1 図書館問題とは何だったのか
2 「戦後」と図書館
3 問題は別のところにある
4 積極主義の落とし穴
5 歴史のなかの図書館
提 言
【連絡先】社団法人日本経済調査協議会
TEL:03-3442-9400 FAX:03-3442-9403
e-mail:調査部