2006年4月4日
お天道様に恥じない経営
-日本企業のガバナンスと社会的責任-
本日、当会の調査専門委員会である「金子委員会」は、『お天道様に恥じない経営-日本企業のガバナンスと社会的責任-』と題する政策提言を発表、記者会見を行った。
本報告書では、企業の社会的責任の本質は、時には利益を犠牲にしても社会の中での有用性を大きくすることにある(社会的有用性責任論)との考えに立っている。このような社会的責任を全うする為には、企業がヒトの結合体であることを重視したヒト中心のガバナンスを中核にすべきであり、その際、わが国に古くから存在する「お天道様に恥じない」という考えを指導理念にすべきである、との提言を行っている。
この提言が関係各機関ならびに国民に広く認識され、活発な議論を喚起して、財政再建に向けての着実な前進が行われることを願ってやまない。
〔金子委員会メンバー〕
委員長:金子 尚志 日本電気㈱名誉顧問
主 査:伊丹 敬之 一橋大学大学院商学研究科教授
委 員:経済界、学界等の有識者18名にて構成*(詳細は後記)
〔報告書目次〕
エグゼクティブ・サマリー
1.基本スタンス
2.ガバナンスと社会的責任の定義
3.CSRとガバナンスとの関係
本 論
第1節 企業の三面性
第2節 CSRの基本的な考え方
(1)コトとしての企業とCSR
(2)社会への責任を負うべき企業という存在
(3)三種類のCSR
(4)有用性責任がCSRの中心、規範責任がCSRのベース
(5)「時には利益を犠牲にしても」社会的有用性を優先する:CSRの本質
(6)利益責任と有用性責任の違い
(7)有用性責任と株主の財産権の関係
第3節 コーポレートガバナンスの全体像
(1)三つのガバナンス
(2)財産処分のガバナンス
(3)経営権力の牽制としてのガバナンス
(4)社会的責任のガバナンス
(5)ガバナンス・メカニズムのオーバーラップは望ましいか
第4節 CSRとガバナンス
(1)三つの関係パターン
(2)他者によるCSRのモニターとチェック
(3)CSRが促す自己規律
(4)自己規律に必要な他者の目という鏡
(5)経営者権力のガバナンスを社会的責任のガバナンスに使う
(6)総合的ガバナンスの適切さがCSRの一部
(7)ヒト中心のガバナンスを中核に
(8)カネの原理とヒトの原理の総合を
(9)経営者のモラルと個性の大切さ
第5節 ガバナンスの具体的メカニズム
(1)日本ができる世界への貢献
(2)具体的アイデアの例
(3)社会の公器としての企業
委員会講師講演記録
第1章 持続可能な社会と企業の社会的責任(麗澤大学国際経済学部教授 髙 巖 氏)
第2章 市井のささやかなCSR活動-Caux Round Table-(日本電気㈱名誉顧問 金子尚志 氏)
第3章 損保ジャパンのCSRへの取り組み-自ら考え、行動する「人」づくり-(㈱損害保険ジャパンCSR・環境推進室長 関 正雄 氏)
第4章 私の考えるコーポレートガバナンス(松井証券㈱社長 松井道夫 氏)
第5章 買収防衛策について(東京大学大学院法学政治学研究科教授 神田秀樹 氏)
第6章 動機付けの仕組としての企業(成蹊大学法科大学院教授 宍戸善一 氏)
*金子委員会委員ならびに講師名簿(五十音順・敬称略)
委 員 長
金子 尚志 日本電気㈱名誉顧問
主 査
伊丹 敬之 一橋大学大学院商学研究科教授
委 員
明致 親吾 オムロン㈱取締役副社長
内田 勲 横河電機㈱代表取締役社長
大橋 光夫 日本経済調査協議会理事、昭和電工㈱代表取締役会長
大森 輝夫 新日本石油㈱取締役
佐藤 安弘 日本経済調査協議会総合委員、キリンビール㈱相談役
関谷 哲夫 日本精工㈱相談役
髙 巖 麗澤大学国際経済学部教授
武田 國男 武田薬品工業㈱代表取締役会長
田波 耕治 国際協力銀行副総裁
長坂 健二郎 日本経済調査協議会理事長、万有製薬㈱代表取締役会長
堀田 健介 モルガンスタンレー証券株式会社代表取締役会長
松井 道夫 松井証券㈱代表取締役社長
宮原 賢次 日本経済調査協議会理事、住友商事㈱代表取締役会長
宮部 義一 三菱樹脂㈱元会長
森 一夫 日本経済新聞社論説副主幹兼編集委員
森川 敏雄 日本経済調査協議会理事、㈱三井住友銀行名誉顧問
専門委員
田中 一弘 一橋大学大学院商学研究科助教授
八木 信人 日本電気㈱執行役員常務
講 師
神田 秀樹 東京大学大学院法学政治学研究科教授
宍戸 善一 成蹊大学法科大学院教授
関 正雄 ㈱損害保険ジャパンCSR・環境推進室長
(参考)本報告書(委員会講師講演録を含む〔B5版頁冊子〕)をご覧になりたい方は、下記連絡先までお問い合わせください。
【連絡先】社団法人日本経済調査協議会
TEL:03-3442-9400 FAX:03-3442-9403
e-mail:調査部